南イタリア最大の都市
ナ ポ リ

1995年、【ナポリ歴史地区】がユネスコの世界文化遺産に登録されました。
ナポリの地名はギリシャ語の「ネアポリス」(新しい町)が語源で、
ナポリの歴史は紀元前6世紀に古代ギリシャがこの地を植民都市にしたことに始まります。
紀元前４世紀にはローマ帝国の支配下に入ります。
天然の良港であったナポリは、地中海交易の拠点としての価値から、
その後の歴史のなかでも多くの国から狙われ侵略され支配され続けました。
さまざまな国の支配を受けたことから、ナポリ市内には様々な時代、
様々な国の様式の痕跡が残されていて、
それが今となってはナポリの魅力、多岐にわたるナポリの文化遺産を
形成することになったのでした。



カプリ島から戻った午後の短い時間、ナポリの港に近い一帯を散策しました。

例えば、このサンタルチア港に突出した小島に作られた要塞カステル・デローボ(卵城)は
もともとは古代ローマ帝国時代の豪壮な邸宅だった所を
11世紀に襲来したノルマン王が要塞としました。
(この写真は高台のホテルから望遠で撮ったものです。卵城へは行きませんでした。)

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その後も、フランス系王朝、スペイン系王朝、
時にオーストリア系王朝、或いはナポレオンの支配など、
さまざまな変遷を経て、やっと1861年、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世が
イタリア王国を統一したことにより、他のイタリアの都市とともに
外国の支配から脱しました。
ついでに言うと、イタリアが王政から共和制に移るのは
第2次世界大戦後の1946年、国民投票によってです。
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こちらはヌオーヴォ城です。
Castel Nuovoは新しい城を意味し、旧来からあった卵城と区別するために命名されました。
この城は13世紀に当時ナポリを支配していたフランス系王朝アンジュー家によって建てられたもので、
円塔と城壁、深い堀など、フランスのアンジェ城をモデルにした城でした。





15世紀になると、ナポリはスペイン王家系のアラゴン家の支配下になり、
白大理石の凱旋門が造られるなど、ヌオーヴォ城は大改修されます。


この凱旋門にはルネッサンス様式のレリーフが施されています。
アラゴン家の アルフォンソ王の凱旋行進を描いたもので、アルフォンソと刻まれた文字も。

プレビシート広場周辺


プレビシート広場
半円形の広場です。
19世紀のはじめに、当時ナポリを支配していたブルボン家のフェルディナンド1世によって造られました。
王宮(17世紀建造)とサンフランチェスコ・ディ・パオラ教会(19世紀建造)に囲まれています。

王宮
15世紀以降のナポリは概ねスペインによって支配される時期が長く続きます。
壮大な王宮が築かれたのは17世紀初頭、宗主国スペインのフェリペ3世の居城として
建造されましたが、当のフェリペ3世は一度も訪れたことがなかったそうです。
(因みにフェリペ3世はスペイン、ナポリ·シチリア、ポルトガルの王でした)
18世紀には増改築され、スペインブルボン家の王宮になりました。
現在は王宮博物館になっているそうです。


王宮ファサード1階部分の壁龕にはナポリ歴代の王8人の彫像が
設置されています。(写真は半分の4人分だけですが…)



サン・カルロ劇場
王宮の北の一角にオペラ座があります。
1737年、ブルボン王朝の初代ナポリ王カルロによって建造されました。
イタリアの３大オペラ劇場の一つです。


公演予告の垂れ幕には
《カヴァレリア・ルスティカーナ》　《マダム・バタフライ》　《その男ゾルバ》などの演目が！

サン・フランチェスコ・ディ・パオラ教会
正面ファサードはローマのパンテオンを、数多くの列柱が半円形にぐるりと立つ回廊は
ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂を模して造られたとか。

王宮と同様、外から見るだけで、中に入る時間はありませんでした。

ウンベルト１世のガレリア


19世紀末に、貧民街を撤去して建設されたアーケード街です。
イタリアの大きな町には、このような形式のアーケード街が多いそうですが、
ミラノでも素晴らしいアーケード街を歩いたことがあります。
ミラノのは《ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガレリア》と名付けられていました。
(因みにヴィットリオ・エマヌエーレ2世はイタリア王国の初代国王、
ウンベルト１世はその息子で第2代国王です)




ミラノのガレリアを模して造られたということで、十字型の道路の交わる所に
高いガラス張りのドームがあったりして、よく似ていると感じますが、規模は
外から見ただけですがミラノのよりも小さいと思いました。


天井の高さは58mもあるそうです。

ウンベルト1世のガレリアやサン・カルロ劇場と接しているトリエステ・エ・トレント広場は
噴水を中心にロータリーになっています。

プレビシート広場とトリエステ・エ・トレント広場の間の通りがキアイア通りです。
この通りはけっこう高級な商店街のようで、私達も幾つかのお店に入ってみました。


キアイア通りの入り口に「カフェ・ガンブリヌス」というカフェがあり、ブルボン朝時代からの老舗だそうです。
トリエステ・エ・トレント広場では、何匹もの犬を散歩させているオジサンが。

グーグルの地図から航空写真をお借りして、私達が歩いた所にアンダーラインをつけました。

ホテルからの眺め


私達が宿泊したグランド・ホテル・パーカーズは小高い丘の上にあり、
ナポリ湾を眼下に眺めることができました。



ヴェスヴィオ火山も見えます。



ナポリの夜景


世界三大夜景の一つと言われるナポリの夜景ですが、
確かに一部分は綺麗で華やかでしたけれど、暗く侘びしい部分も多いと感じました。




さて、ナポリを最後に今回の19日間にわたる長い旅行も終わりになりました。
長いけれども、短くも感じる、とても楽しく有意義な旅ができたことに
嬉しい思いと感謝の思いでいっぱいです。
（完）

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