～～ プレ・ループ ～～
≪アンコール周辺遺跡（１）≫で述べた「東メボン」と同様、
ラージェンドラヴァルマン2世によって相次いで建設されたヒンドゥー教寺院のひとつ。
建物の造りも東メボンとよく似ていて、
ラテライトと煉瓦を多用した三層構造の基壇に五塔の祠堂が配置された
ピラミッド型の高層建築である。
最初の段を上がった所に、死者を荼毘に付す火葬に使われたといわれる石槽が残っている。
この石槽の近くには、火葬のあとの灰を流した場所ではないかという屋根付きの小部屋もあった。
中央祠道まで、またしてもフウフウ言いながら急傾斜の石段を攀じ登る。
でも苦労の甲斐はあって、周囲は360°の大パノラマ。深い密林が迫っている。
～～ タ・プロム ～～
ジャヤヴァルマン7世が12世紀に母親の冥福を祈って作った霊廟寺院で、
タ・プロムとは「梵天の古老」という意味だそうだ。
建築当時は東西1km、南北600mの敷地内は回廊が縦横に結ばれ、
60余りの堂塔があったというが、
現在はその70%以上が崩壊してしまっているとのこと。
今、この地に縦横に伸びているのは巨大な榕樹（ガジュマル）の木。
その異様な光景には圧倒され、アンコール・ワットやアンコール・トムと並んで
アンコール遺跡群のなかの圧巻です。
参道がすでにガジュマルの大木が林立しているなかを、寺院の中へ足を踏み入れる。
シャム軍の侵攻や国内の分断によって、数百年にわたって見捨てられ、放置され、
樹海の中に埋もれていたアンコール遺跡群だが、少しずつ修復が進められている。
しかし、このタ・プロムに関しては、この寺院の周辺の森がとりわけ深く、
大変な勢いで樹木が覆い尽くし侵食したために、榕樹(ガジュマル)が石造建築にからみつき、
遺跡を壊さずに木の根を取り除く方法がなく、絡みついた状態のままになっていることから、
いずれは樹の力によって倒壊し、
朽ち果てる運命にあると言われているそうだ。
それでも、出来る限りの修復作業は続けられている。
大自然の猛威を示す異様な光景は、パソコンゲームの「トゥームレーダー」に使われたり、
同ゲームがハリウッド映画化されたときも、ここでロケが行われたという。
樹に侵食されるきっかけは、鳥たちが榕樹(ガジュマル)の種を口にし、糞を遺跡の上に落とし、
遺跡の上に落ちた種は、成長すると根が大きくなり、石の隙間を広げ、
遺跡は破壊されていった。
まるで大蛇のよう、、、
遺跡の石組みの隙間に根や幹が入り込んで成長し続けていく、、、
やがて押しつぶされてしまうのだろう、、、
自然の猛威と破壊の中でも、デヴァダーは神秘で穏やかな微笑みを絶やさない、、、
