青の洞窟の　そして　皇帝たちも愛した

カプリ島

カプリ島はナポリからの航路で南へ約30kmの距離にあり、
島の大きさは東西約6km、南北約３km、外周は約17㎞。
美しい自然に恵まれ、古代ローマ帝国の時代から現在に至るまで
皇帝やセレブを魅了し続けた憧れのリゾート地です。



マリーナ・グランデ
ナポリやソレントと結ぶ船の発着港、カプリ島の玄関口です。
ナポリからだと高速船で約40分、フェリーで約80分で着きます。
私達はナポリからフェリーで到着、小型船に乗り換えて
青の洞窟へ向かいました。

青の洞窟へ向かう小型船からの眺めです。
カプリ島の周囲はほとんどが断崖絶壁で、砂浜はほとんど無い
ということがよく分かりました。
カプリ島ではこの断崖のあちこちに65ヶ所もの海蝕洞(海食洞)が散在
しているとのことで、青の洞窟もその1つです。
(海蝕洞とは、波の浸食作用によってできた海の断崖の基部の
軟弱な部分がえぐられてできた洞窟のことです)

洞窟までやって来ました。


定員４人乗りの小さな手漕ぎボートに乗り換えます。


入り口の開口部は高さ1m、幅2mぐらいしかないので、
観光客は頭をぶつけないように仰向けに寝転がり、
船頭が入り口に取り付けられた鎖を手繰って反動で洞内へもぐり込みます。
＊
自然状況によっては洞内への進入不可能な場合が多々あるそうです。
実際に今回の旅でご一緒した人の中には、これまでに３回行って３回とも
ダメだった方もいらっしゃいました。
波の高い時は不可能、いくら天気が良くても風があって波が立つとダメ。
(特に冬場は天気が荒れるので、10％ぐらいの進入率だとか
6～9月の夏場は比較的天気が穏やか)
満潮の時(まして大潮のとき)はダメです。



洞内は奥行50mほど、高さ15mほどあるそうです。
洞内の滞在時間は3分間ほど。
中に入ると頭を上げてもいいのに、馬鹿な私は寝転んだまま
真っ暗な天井を見上げて半分以上の時間を過ごしてしまいました、、
＊
ハッと気付いて態勢を立て直すと、えも言われぬ神秘的な
青い水の色がそこにありました。
これはいったい何という不思議な色なんだろう・・・
なんという不思議な世界なんだろう・・・
この色はあえて言えば、ターコイズブルーとでも・・・



慌てふためいたのと、カメラの設定が間違っていたのとで、
撮った写真はお粗末だったけれど、
その幻想的な青と、あの不思議な感動は忘れ得ないものです。
＊
どうしてこのように不思議な青色になるかというと、
入口から差し込む太陽光が透明度の高い海水に反射することによって
波長の短い青色が海面付近で屈折して我々人間の目に入り、
あたかも幻想的な青い色が創りだされたように見えるのです。
洞窟の穴から差し込む陽の光が多いほど美しく、
また差し込む太陽光の傾斜角を考えると、午前中の10～12時ぐらいが
ベスト時間帯なのだそうです。

アンデルセンの『即興詩人』の中で語られた青の洞窟体験は
夢幻、幽明の世界であり、観光化した私達の青の洞窟体験とは
ずいぶん違うけれども、でも、幻想的なあの青い色は
いつの世にも変わりないはずです。
＊
このページの背景色について言いますと、撮った写真の中で海水の色だけを
写したものがあり、それが比較的あの時のターコイズブルーに近いように
思えます。それで、その写真の色をこのページの背景に使うことにしました。

皇帝たちも愛したカプリ島



風光明媚で気候温暖なカプリ島は、古くは古代ローマ帝国時代の
皇帝たちによっても愛されました。
初代皇帝・アウグストゥス、2代皇帝ティベリウスもこよなく気に入っていました。
なかでもティベリウス帝は治世の最後の10年間をカプリ島で過ごし、
ここからローマの元老院に指示を出していたのでした。
よほど気に入っていたのでしょうけれど、書物によれば人間嫌いでもあったとか。
島の東北部の山の上にはティベリウスによって建てられた別荘跡もあるとかで、
そこからの眺めは絶景だそうです。
＊
余談ですが、ティベリウスという皇帝には悪帝という評価と賢帝という評価があり、
塩野七海さんの『ローマ人の物語』なんかを読むと、堅実な賢帝と言っていいようです。
10年間も首都ローマを離れて遠隔の地から帝国を統治し続けることが出来た
こと自体がすごいことですね。それにしても、現代でもナポリ⇔カプリ間を
高速艇でも40分かかるのに、2000年前に皇帝の発した指令が首都ローマに
届くのにどれ程の時間がかかったのでしょうか。塩野七海さんによると、
カプリ島⇔ナポリ間は当時の高速手漕ぎ船で3時間で行けたそうです。
ナポリから早馬で疾駆すれば、案外早く元老院へ指令は届いたのかもしれません。

高台にあるカプリ地区の中心地、ウンベルト１世広場からの眺め。



ウンベルト１世広場にあるサンタ・ステファノ教会。



高級ブティックが並ぶカメレーレ通り。




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